“炭酸”って耳慣れたワードではありますが、みなさんはスキンケアで使ったことがありますか？ アッププラス2021年7月号では、血行促進と洗浄効果を併せもつ、実はホントにスゴい美容法“炭酸美容”についてピックアップ！炭酸水で洗顔するだけでも効果を発揮する “炭酸(＝炭酸ガス、二酸化炭素)”について、有識者2名にその魅力を伺いました。
お話を伺ったのは、このお2人！
炭酸美容家 髙橋弘美さん
スキンケア成分専門家・シーオーツープラス代表取締役社長。
外資系化粧品会社から独立後、炭酸美容にいち早く着目。炭酸美容の第一人者としてTVやラジオ、雑誌などで活躍。著書に『炭酸水でツルふわ肌に』(扶桑社)。
株式会社フェヴリナ商品企画開発課 川野亜希子さん
お客様が満足して使い続けられるよう試行錯誤を繰り返し、20年近く化粧品の商品企画開発に携わる。コスメコンシェルジュ。
–炭酸といえばシュワッと弾ける泡入りの水をイメージしますが、それが美容としてどんなメリットをもたらしてくれるものなのか、教えてください。
髙橋さん（以下、髙）炭酸美容をシンプルに説明すると、”炭酸水を使った美容法“になりますね。スキンケア効果を発揮するのは、水中にとけ込んだ炭酸ガスです。
川野さん（以下、川）炭酸ガスには、肌内の酸素供給を増やす働きがあります。若々しい肌を保つためには、新しい肌細胞をつくり出しつつ古い細胞と取り替える”新陳代謝“が絶えず行われなくてはいけませんが、細胞内の酸素が不足しているとうまく機能しません。つまり、美肌のためには酸素が必要というわけです。ここで炭酸ガスの出番！となりますね。
髙 炭酸ガスは二酸化炭素の気体の状態で、ご存知の通り空気中にも、私たちの体内にも存在する天然成分。これが私たちにもたらすスキンケア効果は、大きく分けて“血行促進”と“洗浄”の２つあります。
川 二酸化炭素は分子がとても小さく、それは毛細血管にまで浸透が可能なくらい。そのおかげで血管を広げ、血流を促進させることができます。血流が良くなれば栄養と酸素が肌に行き渡りますよね。これが肌の新陳代謝をサポートすることになり、結果として若々しい肌を作ることにつながります。
炭酸で洗顔した際の肌温度の変化
洗顔直後の顔は全体に青く、首よりも温度が低い状態。
皮膚の薄い部分から炭酸が浸透し、血行が促進する。
血行促進による代謝アップ効果で顔全体と首までが赤くなった。
※フェヴリナ調べ ※体感には個人差があります。
髙 血流が良くなるメカニズムをさらに詳しく説明しましょう。血管に入った二酸化炭素は老廃物と見なされ、身体は排出しようとします。だから、血管が広がって血流もアップ。また同時に、血中の酸素を増やします。血中の酸素は、ヘモグロビンという細胞にくっついているのですが、二酸化炭素はそこから酸素を切り離す手助けをします。これで、血中の酸素濃度が上がり、細胞に酸素が行き渡ることになりますね。
炭酸ジェルを使ったパッチテストの結果。皮膚に5分のせて拭き取り、3分後の血流を測定。緑と黄色部分が血液の画像で、使用後は血流が良くなっていることが分かる。
※シーオーツープラス調べ
川 この効果は、早くから医療分野で着目されていました。炭酸治療は肌再生に効果を発揮していたのです。私たちの商品開発もそのことがきっかけとなりました。
髙 二酸化炭素のもうひとつの効果は、“洗浄”。二酸化炭素がたくさんとけているケアアイテムを使うと、毛穴などに詰まった皮脂や汚れなどを吸着してすっきりキレイにしてくれます。また、炭酸水は肌と同じ弱酸性ですから、毛穴の皮脂や汚れを取り除くと同時に肌を引き締める効果ももちます。
この効果を全身で受けられるのが炭酸泉。全身で浸かれば体の冷えやむくみに効果があり、背中など普段手の届きにくいパーツのケアも叶います。自宅で簡単に取り入れるなら、炭酸フットバスがおすすめ。無理に削らなくても、かかとのガサガサがつるんと整いますよ。
高濃度の炭酸泡は汚れを吸着するため、毛穴汚れなどのケアに最適。
川 そうですね、炭酸美容は肌自身がもつ力を上げるところが魅力です。
構成・文／長江裕子
