世界中で採れる、大地の恵みのクレイ。どんなものがあるのか、人にどんな風に作用するのか、使い方などをレクチャーしましょう。
シンプルだけどメリットいっぱい!クレイの“吸着”作用ってスゴい
クレイは、何千年〜何億年単位ででき上がってきた地球の粘土鉱物です。〝どんな歴史を築いてきた地層なのか〞で、クレイの成分=ミネラルバランスに違いはありますが、どの種類も主な作用は〝吸着〞。クレイはマイナスに帯電していて、プラスに帯電しているものを取り入れようとする性質があります。人にとって〝悪いもの〞のおおよそはプラスに帯電しているため、クレイの作用は〝都合良く働くもの〞として重用されているのです。
具体的な人への作用としては、肌にのせておくと体液の動きを良くしたり、保持している水分バランスを整えたりすること。体液の循環が良くなれば老廃物が効率よく排出され、ターンオーバーのリズムが整えば……と、作用が連鎖していって肌の活性化につながるというわけです。シンプルなのに、享受できるメリットは大きいもの。肌トラブルにも大きな効果をもたらすので、まだの人はクレイの作用をぜひ体験してみてください。
クレイの種類は、主にカラーで分けられます
クレイは地球そのものと言っても過言ではない物質。だから、産地よりも含まれるミネラル成分や吸着力の強さで分類されることが多いのです。
美容やヒーリング用として私たちが手にできるクレイは、分かりやすいよう“商品名”として色分けされています。
ホワイトクレイ
主な鉱物
カオリナイト
特長
微粒子でとても柔らかい。ボディパウダーや歯磨き粉など、スキンケア全般のベースになる。
ピンククレイ
主な鉱物
カオリナイト/イライト/マイカ
特長
ホワイトとレッドをブレンドしたもの。作用がソフトなので敏感肌やクレイ初心者にマッチ。
レッドクレイ
主な鉱物
イライト/マイカ/カオリナイト
特長
しっとりとした肌触り。フェイシャルから全身のディープクレンジングに。入浴剤やフットバスにも。
イエロークレイ
主な鉱物
カオリナイト/クォーツ
特長
すっきりとした使用感が特長。ほどよい吸着力を持ち、毛穴のクレンジングや引き締めケアに。
グリーンクレイ
主な鉱物
イライト/マイカ/クォーツ
特長
ミネラル成分が豊富。クレンジング力も強く、脂性肌やニキビ肌のフォロー、ボディケアに最適。
ブラウンクレイ
主な鉱物
スメクタイト
特長
洗浄力と吸着力に優れた種類。ペーストにするとジェル状になり、肌当たりはマイルド。デトックス用に。
「クレイ上手♪」になるために知っておきたい10のこと
素朴な疑問から「ほぼクレイのみ」のコスメのことまで!今より知識を深めて、肌と環境のための楽しい“クレイライフ”を送りましょう。
1.クレイ初心者は吸着作用が穏やかなホワイトクレイ、ピンククレイからトライ
ホワイトクレイの中でも、カオリナイトという種類は細かくて吸着力も弱め。肌が弱い人も、赤ちゃんでも、問題なく使えるクレイです。クレイにだんだんと慣れてきて、しっかりとした吸着力が欲しいと感じた時は、スメクタイト系のガスールやモンモリロナイトなどがオススメ。
2.クレイの吸着パワーを利用すれば、汗やニオイ対策もできる
クレイパウダーは、吸着させたいものがある部分のほぼどこにでも、デリケートゾーンにだって使えるのです。靴を履く前に、足の裏につけておけばニオイ防止に効果的ですし、もちろんワキにも。また、“ 殺菌はしないけれど、菌の抑制はする” という特長を生かして、掃除にも使えます。ボディパウダーとして使っている時、もしクレイが床に落ちてしまっても、濡れた雑巾でパパッと拭けばそれが最高の掃除タイムに。
3.どのクレイも吸着作用がメインだけど、安全なものかどうかきちんとジャッジ
同じクレイでも工業用、工芸用、美容やヒーリング用として使われるものがそれぞれにあります。美容やヒーリング用として使うクレイは、汚染されていない土壌から採掘されたクレイであることが大前提。クレイそのものを入手する際には安全性を考え、化粧品認可などきちんとした基準をクリアしたものを選ぶことが大切です。
4.肌や頭皮にのせるクレイマスク。放置時間の目安は“半乾き”
クレイの種類やペーストの硬さによるので、一概に“ 何分” と決められません。水っぽいテクスチャーは吸着力が弱く、水分を抱え込んでいられずにすぐに乾いてしまうので、マヨネーズくらいのトロリとした硬さを目安に。クレイはもっちりとしたペーストほど乾きにくく、長めに放置しておくことができますが、完全に乾ききるまでのせたままでいると肌を傷めることになるので注意が必要です。慣れないうちは、完全に乾きにくいお風呂の中でマスクをして、湯船の中で洗い流してクレイバスにする、というステップがオススメ。
5.クレイは地球規模の産物。動物だって活用しているもの
クレイの活用の仕方は気候や風土により違い、フランスを中心としたヨーロッパでは美容ツールとしての歴史が古くからありますが、先住民族は日焼け対策や治療目的として使っていました。人だけではなく、動物も泥=クレイを体にこすりつけて、虫除けや日除けに使っています。クレイは生き物がみんなで活用する地球の有限産物なので、感謝しつつ上手に利用しましょう。
6.何億年も前のクレイに向かって“消費期限”は、愚問
もともと何億年も土の中にあったものだから、クレイそのものは密封して保管すれば期限はほぼありません。ただし、水やオイルなどを加えたものには期限があります。また、容器のフタを開けっ放しにしたものも、空気中のいろいろなものを吸着してしまうため表面がカビることも。様子が違うと感じたものは、掃除用として使うと良いでしょう。
7.肌トラブルがある人こそ、クレイコスメの良さが響きやすい
肌トラブル部分には、メイクなどをのせたくないと感じる人が多いでしょう。でも、クレイでできたコスメは“ むしろ、トラブル部分からのせて! ” と言いたいくらい、使うほどトラブル知らずの状態へとどんどん整っていきます。だから、肌が強くない人もぜひチャレンジしてみてください。
8.クレイをライフスタイルに取り入れたら、洗い過ぎないことも意識
クレイパックの前後に、石けんでしっかり肌を洗うなんてもってのほか!大切な常在菌も洗い流すことになり、落とし過ぎて逆に肌を弱くしてしまいます。自分の肌で“乾燥を強く感じる”ことがあれば、それは洗い過ぎのサイン。あれこれ使って何度も洗ったり、ゴシゴシと強く洗ったりしないよう注意しましょう。
9.クレイの吸着力に頼りすぎず、生活全般を見直すこと
クレイには、重金属や老廃物などを吸収・吸着するという作用があるけれど、それに甘んじて悪いものを体内に入れることをやめないと、思うような効果を感じられないことがあります。安全に、キレイになりたくてクレイを取り入れるのであれば、できる限り悪いものを入れない、ということも考えていくべき。そうすれば、意外と“ キレイ” はすぐ手に入るのかもしれません。
10.クレイバスに精油を入れてもなじみません
クレイは人にとって良いか悪いか関係なく、何でも吸着します。だから、何かとミックスする際は注意が必要。人が吸収するよりも先に、クレイがその成分を吸収してしまう、と思ってください。だから、クレイバスで香りを楽しむために精油(エッセンシャルオイル)を入れても香りは持続しませんし、オイル分が湯面に浮いてしまい、直接肌に付着するなどして肌荒れを起してしまうこともあります。香りを楽みたいのであれば、クレイ用に乳化させたアロマを選ぶか、香りだけならアロマキャンドルを灯すなどで代用してください。
お話を伺ったのは
国際クレイセラピー協会
勢田仁美さん
2011年9月、ICAの事務局長に就任。地球の恵みであるクレイの恩恵を未来へと継承することを目的に、ソーシャルでオルタナティブな協会運営を目指す。ナチュラリスト。
クレイセラピーとは?
“健康になろうとする力”を活性化する自然療法
私たちが本来持っている“ 生きる力” を引き出すものとして、クレイは太古から人が活用しているもの。国際クレイセラピー協会は、そんな地球エネルギーのクレイセラビーをはじめとする自然療法などの情報を提供してくれる機関です。ライセンス取得講座やセミナーも開催。
https://claytherapy.jp