笑って泣いて、前に進む、家族たちの愛の感動作『長いお別れ』

登場人物の誰かに共感できる"多重構造"

有村 2016年公開の『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞優秀監督賞など、数々の賞を受賞した中野量太監督の最新作。結構時間があいたのは、いろいろなオファーがあった中で、この作品を選んだという想いが伝わってきます。今回も"家族"というテーマをブレずに描いた作品で、本当に見事です。

宮澤 この映画は認知症の専門医も監修しています。この作品では父親が認知症になった7年を、4つの期間に分割し構成しているのですが、監督ご自身も認知症についてかなり調べられて、作品に挑んだようです。

アリコンおすすめ
「姉妹が子供の頃、家族で行った遊園地。そこに昇平が、傘を持って向かうシーンは涙が出ました」


有村
 山﨑努さん演じる父・昇平の症状がどんどん悪くなっていく流れの中で、妻には妻の、娘たちには娘たちの、孫には孫の、それぞれの昇平に対する目線や自分たちの人生が描かれている。多重構成になっていて、誰かに共感できるようになっているのがいいですね。

宮澤 私は蒼井優さん演じる、次女・芙美に共感しました。日々の忙しさで親と向き合う時間がない、そして自分自身のこれからも見つめなおし始める時期……すごくわかります。

家族に会いたくなる家族を考えるきっかけに

有村 原作では、3姉妹で、孫もふたりですね。原作の中島京子さんの許可を取って、出演人物を削ったのも正解だと思う。

宮澤 昇平が認知症になった7年間が、震災やオリンピックなど、実際にあったことと一緒に描かれているのもリアル。自分がそのとき何をしていたか思い出しながら観ました。

俳優さんたちの演技も見事!ハマり役です(有村さん)
誰にでも身近に起こりうることで共感できます(宮澤さん)


有村
 人生100年時代。老人でいる時間は長くなっている。認知症のことは英語で「ロングロンググッドバイ」というらしいですね。この映画は、家族を考えるきっかけになるんじゃないかな。

宮澤 私もこの映画を観て、家族に会いたくなりました。

宮澤さんおすすめ
「芙美が縁側で、昇平に悩みを語るシーン。言葉は通じないけど、心が通じ合っているというこのシーンに、号泣しました」


有村
 認知症を扱っているけど、くすっと笑えるシーンも詰まっている。読者のみなさんの世代にも、是非観ていただきたいですね。

 

今月の映画宣伝担当

メゾン 宮澤美樹さん
4年間の丸の内OL生活を経て、念願の映画宣伝の世界へ。
好きな映画は『リトル・ダンサー』。
「このコーナーに出るのが夢でした!」という、27歳。

 

『長いお別れ』
5/31より、全国にて公開
©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋
【監督】中野量太
【出演】蒼井 優、竹内結子、松原智恵子、山﨑 努、北村有起哉、中村倫也、杉田雷麟、蒲田優惟人
母・曜子(松原智恵子) から、アメリカで暮らす長女・麻里(竹内結子) と、次女・芙美(蒼井優) は、 父・昇平(山﨑努) の70歳の誕生会の誘いを受ける。そこで告げられたのは厳格な父が、認知症になったという事実だった。

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