【岸井ゆきの】難しく考えず、舞台に足を運んでいただく、きっかけになれば

1995年の初演から、世界20か国以上で上演されている『月の獣(Beast on the Moon)』。
第一次世界大戦後夫婦になったアルメニア人の愛の物語で、妻セタを15歳から演じる岸井ゆきのさんが、この舞台への意気込みを語ってくれました。

岸井ゆきの

“家族のありかた”を考えさせられるストーリー

――『月の獣』は第一次世界大戦中に起きた、アルメニア人迫害の実話に基づいたストーリーですが、ご自身でもこの史実について調べたそうですね。

歴史を知っていたら演じやすいかな、という思いはありました。そういう歴史を持った、セタとアラムの夫婦が、お互いの苦しい過去を受け入れて、どんな家族を作っていくのか、そこを大事にしたいなと。

徐々に変わっていく夫婦の関係をどう表現するかが重要

――ご自身が舞台に出演デビューしたのは、2011年とのことですが、観劇デビューはいつだったか覚えていらっしゃいますか?

幼稚園の頃からよく舞台に連れて行ってもらってはいたのですが、はっきりと覚えているのは、『ユタと不思議な仲間たち』です。その後、テレビで放映されたものを録画して、擦り切れるまで観た記憶があります。この作品と出会ったことは、自分が舞台と向き合うときの姿勢に影響しているように思います。

岸井ゆきの

映画館とは違った、美しい舞台照明を体感して欲しい

――『up PLUS』読者には、まだ舞台鑑賞を体験していない人も多いと思います。舞台を鑑賞する魅力は、どこにあると思われますか?

映画館にはない、舞台用に作った照明は、とてもキレイだと思います。私、舞台照明やセットを見るのがすごく好きなんです。劇場に入ったとき、舞台に幕が下りていてセットが見れない場合と、暗くした舞台にセットがそのまま置いてある場合があるんです。セットが見れる場合は、「ラッキー」と思って、その瞬間からすごくテンション上がって、これから始まる舞台を想像したりします。

――『月の獣』で、注目してもらいたい演出はどんなところですか?

セタはアルメニア人ですが、物語は第一次世界大戦後のアメリカ・ミルウォーキー。日本人がドラマや映画でも着ない洋服を着ると思うので、そこに注目していただくのもおもしろいかもしれません。

――最後に、この舞台『月の獣』のアピールを!

第一次世界大戦後の史実に基づいてはいますが、家族の愛の形を描いた物語になっています。難しく考えないで、舞台に足を運んでいただくきっかけになればうれしいです。そして舞台の上だけで完結するのではなく、それぞれが感じたものを持ち帰っていただければ、と思っています。

※本記事はアッププラス2019年12号より一部抜粋して掲載しています

きしい ゆきの
1992年2月11日生まれ。神奈川県出身。
2009年ドラマ『小公女セイラ』で女優デビュー。近年の出演作に、ドラマ『モンテ・クリスト伯』、映画『愛がなんだ』、舞台『髑髏城の七人 Season風』など。

『月の獣』
[作]リチャード・カリノスキー
[演出]栗山民也 [出演]眞島秀和、岸井ゆきの、久保酎吉、升水柚希
12/7~23、東京・紀伊国屋ホール
12/25、りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場
12/28、29、兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール
https://www.tsukinokemono.com
第一次世界大戦の終戦から3年が経った1921年、アメリカ・ミルウォーキー。迫害により家族を失い、ひとりアメリカへと亡命した青年・アラム(眞島秀和)は、写真だけで選んだアルメニア人の孤児の少女セタ(岸井ゆきの)を妻として呼び寄せる。 アラムはセタに理想の家族を強制するが……。

撮影/米玉利朋子(G.P.FLAG)
スタイリング/岡本純子
ヘア&メイク/藤垣結圭

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