【東出昌大】“ ひとすじの光” が毎話見える、重すぎないストーリーになっています

民放ドラマとは違った魅力を放つ作品が多いWOWOW のオリジナルドラマで、またひとつ名作が登場!
ベストセラー作家・薬丸岳さん原作、名匠・瀬々敬久監督の『ドラマW 悪党 〜加害者追跡調査〜』で、連続ドラマ初主演を果たした東出昌大さんにその魅力を語っていただきました!

犯罪被害者遺族の心理で演じることはきつかった

―― この作品に出演するにあたり、プレッシャーを感じたとのことですが。
瀬々敬久監督は『64―ロクヨンー前編/後編』『友罪』といった名作を残していて、犯罪ドラマに確固とした世界観を持っている監督ということへのプレッシャーはありました。犯罪被害者や加害者家族のルポなどを読んで、今回演じた探偵・佐伯修一の人生を考えました。佐伯は姉を殺されて、人生が一変したということを忘れてはいけない。でも安易に"復讐"と思って演じては、瀬々監督とご一緒する意味がないので、たくさん下調べをしました。

―― 東出さんご自身としては、復讐とまではいかないと思いますが、「いつか見返してやる」という思いを持つことはありますか?
仕事においての向上心や野心は自分自身の問題。「いつか見返す」というのは他者との比較なので、無駄なプレッシャーにしかならないと思っています。モデル時代は若かったし、外国人モデルと比較をしたこともありましたが、年を重ねて基本的に他者と比較はしなくなりましたね。

瀬々監督との『悪党』は"高所登山"と覚悟していた

――佐伯の探偵事務所の所長・木暮正人役の松重豊さんは、ご自身と同じくらいの身長の東出さんとの共演を楽しみにしていらっしゃったとか。
"身長あるある"みたいな話をしたのは、楽しかったですね。佐伯は探偵なので尾行したりするために猫背になって身体をかがめる場面が多かったんです。だから松重さんの横でも猫背が多かったんで、もうちょっとピンと立って同じくらいの身長を感じたかったんですけどね(笑)。

―― "身長あるある"というのは?
例えば「反対側から大きい人が歩いてくるな」と思ってすれ違うと、自分のほうが大きいとか(笑)。松重さんのほうが世代的に、合う洋服や靴はなかったとおっしゃっていましたね。時々感じる肩身の狭い空気とか、そんなことを話しましたね(笑)。

――このドラマは東出さんの連続ドラマ初主演とのことですが、体験してみてどういう感想を持たれましたか?
犯罪を扱うストーリーということでそんなに和気藹々とした現場ではなかったのですが、共演のみなさんが毎回素晴らしいお芝居を残して撮影現場を後にされるので、そのパワーをもらって最後までカメラの前に立てた気がします。僕は山登りが好きなんですが、役者を始めて7年、今までずっとがむしゃらで自分がどのくらいの高さの山に登っているかわからなかったんですが、今回、瀬々監督と『悪党』をご一緒するというのは、6000メートル級のかなりの高所登山だという予想がついていたんです。まだまだ高い山に登りたいですね。

日常とは違う世界にいけるエンターテインメント

――5月から始まるこのドラマのアピールをお願いします。
この作品を観ているときは、日常と全く違う世界に確実に行けると思います。復讐心を持つ佐伯を演じることできつかった部分はありますが、プロデューサーは「毎話、ひとすじの光が見える内容になっている」と言っています。だいぶ"男臭い"ドラマですが(笑)、壮絶境遇の人しか持ち得ない寂しい破滅的な美しさがあって、同性の目から見ても「カッコいいな」と思えます。重いようで重すぎない、エンターテインメントとして楽しんでいただける作品だと思っています。

※本記事はアッププラス2019年5月号より一部抜粋して掲載しています

ひがしでまさひろ
1988 年2月1日生まれ。埼玉県出身。
2012年俳優デビュー。舞台「M&Oplays プロデュース『二度目の夏』(7/20~8/12 東京・本多劇場、その後、福岡、広島、静岡、大阪、名古屋にて上演)に出演を控える。
『連続ドラマW 悪党 ~加害者追跡調査~』
かつて姉を殺されたという経験を持ち、警察を辞め探偵事務所で働く佐伯修一(東出昌大)は、ある夫婦から、息子を殺し、少年院を出て社会復帰している加害者の男の追跡調査を依頼される。所長の木暮正人(松重豊)の命令で調査を始めるが……。
【監督】瀬々敬久
【出演】東出昌大、松重豊、ほか
5/12 夜10 時より、WOWOWプライムにて放送スタート
全6話/第1話無料放送
https://www.wowow.co.jp/dramaw/akutou/

 

 

撮影/十万正人(NA-GEANNA)
スタイリング/及川泰亮
ヘア&メイク/ AMANO
取材・文/山西裕美(ヒストリアル)

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